いなblog

自分語りをします。

強迫神経症(強迫性障害)の話

病気についての話は知らない人からすると

煙たがられることが多いです。

とくにこういう、神経系のものは。

でも、新型コロナウイルスの影響で

除菌、手洗いが徹底されてる今、

これまであまり意識してなかった人たちも

ウイルスの恐怖を実感している今だからこそ、

聞いてもらいたい、頭の片隅に

置いといてほしいなーと思い、

この記事を書こうと思いました。  

目を通して貰えたら嬉しいです。

 

 

まず、"強迫神経症"って言葉がどのくらい

浸透してるのか分からないけど、

簡単に言うと要はうつ病とかと同じ脳の病気です。

かかってる場所が精神科とか心療内科って聞くと

気の持ちようって思う人も多いですが、

脳にあるべき細胞が他の人より少ないから

なってしまうもので、

自分ではどうしようもないものなんです。

 


症状は人によって様々で、簡単にまとめると

「強迫観念が頭に浮かんでそれを取り去るための動作を気が済むまで行ってしまう状態」


私自身、16歳の頃発症して

21歳頃まで薬で治療していて、

実際私がなってたのは

・不潔恐怖・洗浄強迫が主でした。

反復強迫は今ではもう日常に溶け込んでます。

あとは私はあんまりなかったけど、

・確認強迫ってものもあります。

それぞれ具体的に説明します。

 

・不潔恐怖

例えば何か汚れてる物に触って、

自分の手に明らかに汚れがついてたら

「汚れた」と認識すると思います。

でも、不潔恐怖の場合目に見える汚れがついていなくても、

「なんか汚れている気がする」が

ずっと頭から離れなくなります。

 


それが次の・洗浄強迫に繋がります。

医療関係の人が推奨してる正しい洗い方は

一旦置いといて、

大体みんなどのくらい洗ったら

「手を洗った」と思えるのかは

人それぞれ差があると思いますが、

強迫神経症を患ってる人には

自分の中でしっかりとルールがあって、

それにきっちり沿った洗い方でないと

「手を洗った」と認識できません。

その最中にたとえば誰かに声をかけられるとか、

洗ってる最中少しでも手指のどこかが

蛇口に触れてしまっただけでも

また最初からやり直しになります。

酷い時は30分、1時間、もっと長い時間

手を洗い続ける人もいます。

 


そのおかげで当時の私は手相がありませんでした。笑

常にカサカサ、粉吹き状態。

ハンドクリームを塗ろうにも、

その容器に触れる時だって細心の注意が必要。

まず容器本体が除菌されてることが大前提。

あとどの容器でもそうだったんですが、

どれも"底"の部分には触れませんでした。

持った時、置く時、"底"やテーブルに

少しでも手の側面が当たったらまた手洗いやり直し。

ずっとそれの繰り返しです。

 

反復強迫

これは、私の場合ですが

同じ単語を繰り返し納得できるまで

頭の中で復唱したり、

スマホやパソコンで文字を打つ際に、

同じ文字を気が済むまで打ち直すとか、

本を読んでいても同じ行を繰り返し読むなどです。

なので、一時期本を読むとイライラして

泣いてしまっていたので、本はずっと遠ざけていました。

人前で文字を打つのは今も苦手です。

 

あとは・確認強迫、これは結構みんな

(あれ?家の鍵閉めたっけ?)とふと不安になって

家に戻るみたいなこと、経験ある人も

多いと思うんですが、

強迫神経症になるとそれを自分が納得できるまで

何十回と繰り返す人もいます。

昔女芸人さんがそれで確認しすぎて

ドアノブ壊れたって言ってたな。

笑い話にしてたけど、本人はかなりしんどいと思います。

だってそれで遅刻して周りに迷惑かけてしまうのも

全部分かってるから。

分かってるのにやめられないんです。

(一時期潔癖症タレントがやたらテレビに出てきて笑いになってるのは本当に不快だった)

 


ほかにも、どっかで誰かのこと

怪我させたんじゃないかと不安になって

パニック起こすとか、

何かを落としたんじゃないかと思って

パニック起こすとか。

後ろで誰かくしゃみしたのが聞こえたら

自分にかかったんじゃないかと思ってパニック、

人とすれ違う時十分距離をとってても

服の端が触れたんじゃないかと思ってパニック。

これは私が実際あったことです。

 


強迫神経症の人はめっちゃパニック起こします。

 


だから手洗ってる最中も家族は

心配になって声をかけるけど、

どうか見守ってあげてほしいです。

もちろん、心配で声掛けてくれてるのも分かってます。

分かってるからしんどい。

とても自分勝手に聞こえるかもしれませんが、

それが実情です。

 


ドアノブ触れないから家中のドアは

常に開けっ放しにしてもらってたり、足で開けたり。

ドア閉まってたらパニック起こしたり。笑

一緒に生活してる家族はそれはもう

大変なストレスだったと思います。

 


うつ病などもそうですが、家族が患者の感情に

巻き込まれてもっと酷いうつになることもよくある事例だそうです。

幸い、うちの家族はそれはありませんでした。

その当時の母と兄には感謝しかありません。

 

 

 

今、新型コロナウイルスの影響で

帰ったらすぐ着替える、お風呂に入るなどが

推奨されていたり、

独自で考えてやってる方も多いと思います。

 


ドアノブを触らなくていいように

足で開けられるバーを作ったコンビニもあるとか。

強迫神経症の人にとっては

めちゃくちゃ素晴らしいし有難い反面、

個人的には症状が悪化してる人や、

患者さんが増えてるんじゃないかなっていう

心配もあります。

それで家族、恋人、友人関係に亀裂が入るのだって

全然ありえることだから。

 

 

 

強迫神経症の人にとってハンドソープや

除菌アイテムは必須です。

それがなかなか手に入らなくて

パニック起こしてる人もきっといるんだろうな。


もちろん、病院や介護施設

小さい子供がいる場所などなど大変なところが沢山あるのは重々承知してます。

その上で、そういう病気の人がいること、

もう少し理解される社会になったら

嬉しいなと思います。

 


私自身、姉にだけはずっと理解されなくて、

姉に子供が生まれて、私だって可愛くて

触りたかったけどできなくて、

気を悪くした姉は子供(甥っ子)に

「変な人だから近づかない方がいいよ」

と言ってたのが今でも忘れられません。

それと、その拒否してしまった時の記憶が

甥っ子の中に残っていませんようにとも思います。

 


よくあるのが不潔恐怖、洗浄強迫と

綺麗好きを混同されること。

綺麗好きの人は汚いのが嫌で掃除したり

整頓したりすると思います。

でも、不潔恐怖の人は汚い(と自分で思う)物に

触れないから、部屋の掃除ができない人もいます。

だからどんどん部屋が汚れていく。


お風呂に入ったら自分ルールで

洗い続けてめちゃくちゃ洗いまくって

納得する人もいれば、

お風呂場そのものが汚いと思って

お風呂に入れないで部屋に籠る人もいます。

 


私は後者でした。

だから姉からは

潔癖症ぶってるけど怠けてるだけでしょ?」

と言われたこともありました。

 


一般的に考えた汚れてると、

強迫神経症の人が思う汚れてるは

意識がかなり違うこともあるってことです。

もちろん、整頓されてない状態を見て

パニック起こしてひたすら直しまくる人もいるので、

そこは一概にこうとは言えません。

 

ここに書いた以外にも、強迫神経症の症状は

まだたくさん例があります。


だからもし今後一緒に生活してる人が

強迫神経症と診断されたり、

その疑いがある状態になったりしたら、

まずどれがその人にとって

ベストな条件なのかを聞いてあげてほしいです。

 

 


気をつかったり、自分でもわがままな事

言ってるのは分かってるので、

なかなか本音が言えない人もいると思います。

そこはその人の行動を見て

考えてあげられたら、それだけでも違うと思います。

 


当時私の友人は私が嫌そうなもの、事を

毎回確認してくれました。

「これ触ってもいい?」

「これは平気?」

ドアは言わなくても代わりに開けてくれたり

(どこのお嬢様だよって感じですが)

とにかく協力してくれました。

本当に本当にありがとう。

 


その頃は家族の肌に触れることもできなかったけど、

今は触れられることがすごく嬉しいし、

逆に誰かに触れてもらえると

(汚いって思われてないんだ~)と嬉しくなったりします。笑

 

ちなみに、心療内科や精神科は

予約を入れたいと思っても

なかなかすぐ入れられないのが

結構あるあるなようです。

今相談したい!と思っても新規だと

3ヶ月待ちなどは珍しくありません。

 

個人的に、経験上思うのは

こういう病気に使われる薬は

副作用も強いものが多く、

合わない薬に当たった時は

本当に最悪だったので、

安易に薬の量を増やしてくる

医者ならすぐに変えるべきです。

 


めっちゃ長くなりましたが、

要するにまとめると

もし今後自分や自分の大切な人が

いきすぎた潔癖状態になっても、

イライラしたり悲観したりせずに

落ち着いて話し合ってみてください。

ってことを伝えたくて書きました。

 


除菌が徹底されてるこの状況が

いつまで続くか分かりませんが、

目に見えない汚れにパニック起こすくらい

恐怖や苛立ちを感じるようになるのは

誰の身にも起こり得ることだと思います。

とくに今、こもりっぱなしで

セロトニンの生成がうまくできなくて、うつ状態にも

なりやすくなってると思うので、

全然可能性はあると思います。

小さいお子さんいる家庭とかとくに。

 


今観られる手段あるのか分からないけど、

佐藤二朗さんって俳優が昔

「memo」という映画を作ってます。

佐藤二朗さん自身も強迫神経症を患っていて、

その頃の自分の状態を映画にしてます。

何度も何度も同じ動作を繰り返して、

「よし!もう大丈夫!もう大丈夫!

もう、もうこれで最後!もう終わり!はい!終わり!」

と言いながらまた何度も戻るを繰り返す。

この描写は本当にリアルで、観てる人は

たぶん分からないとイライラする人もいると思いますが、

そのイライラこそがめちゃくちゃリアル。

どこかで機会があったらぜひ観てほしいです。

 


長くなりましたが、ここまで

読んでくださってありがとうございます。


10-FEET TAKUMAさんの言葉を借りて、

「優しさは想像力」精神で。

優しい世の中になったらいいなあ。

 

______以下、7.28追記______

 

病院に行ってないってことは

もう治ったの?と思われがちなんですが、

この病気には完治はないそうです。

病院で言われました。

うつ病などもそうだと思います。

"完治"ではなく、"回復"している時間を

いかに長く保たせるか。

たとえ10年元気だったとしても、

11年目に再発するかもしれない。

それは分からない。

だから、完治するという言い方は

私はしませんと。

 

でも、今の私はもうショッピングモールの

トイレも大体使えますし、映画館も行けます。

レストランで食事をとったり、

それ以前にレストランのドアを触って、

椅子に座って、なんてことができています。

昔に比べたらかなり普通に、

だいぶ普通に普通のことができるようになりました。

昔は考えられなかった家中のゴミをまとめるとか、

床の上を歩いた犬の足が嫌で発狂してたけど、

今では冷たい肉球が可愛くて気持ちよくて

顔の上に乗せたりしてます。

 

ただ、PMS期や、季節の変わり目、

環境が変わった時、

なにか落ち込むことがあって不安定な時などは

洗う時間が長くなったり、

使っていた物すべて除菌したり、洗ったり、

あるいは捨てて遠ざけたりしないと

落ち着かないこともたびたびありますが、

概ね良好な状態で過ごすことができています。

男性女性年齢問わず、わりと誰でも

体調崩しやすい時期にはこういったことにも

ちゃんと影響でるってことみたいです。

同じ文字を何度も打ち直す行為は

今となっては当たり前になっているので、

そこまでストレスには感じなくなりました。

人前でうっかりやってしまうと焦りますが。笑

本もスムーズに読めるようになったので、

今はできることが増えてとても幸せです。

 

薬をやめた経緯など、やめたあとどうなったかなどは

今回のテーマとは少しかけ離れてしまうので

また機会があったら書こうと思います。

 

ただ1つ言えるのは、

周りの家族や友人が諦めずに、見捨てないでいてくれたこと、

サポートがあったからこそ

今の自分になれたというのは間違いありません。

ベタな言い方かもしれないけど。

本当にこれに尽きます。